23年ぶりの亀山社中参上ライブ with ビッグバンド

at Blues Alley
総勢20名の贅沢なライブ!!
クラシック・ロック・ソウル・ジャズ・フュージョン・ラテンと多彩な音楽が
ジャンルを超えてコラボレーション!!
●スペシャル・ゲスト
Violin:さだたいりく
Vocal:Maria Eva 
日時:2012 2月1日 水曜日
START 19:30〜20:30 (60 mini)≪インターバル≫ 21:15〜22:30(75mini アンコール含む)
○ビッグバンド・メンバー
トランペット:

篠原正樹・横田博美
トロンボーン:

サックス:平原まこと
熊谷守男
●ライブを終えて
2010年の10月に井上ヒロキビッグバンドにサポートとして亀山社中が再結成され六本木のライブ
ハウスで久々にメンバーが集まった。
有り難いことにチケットが発売20分で完売となり、昔からのファンからまたの要望が多く聞かれた。
と言うことで今回は少し広いBlues Alleyで亀山社中メインでライブをすることになった。
総勢20名のライブは楽しくもあり苦しくもある。
物理的にステージが一杯になり、当然スペースが厳しい。今回は宅間氏もマリンバ持参であるからグラ
ンドピアノとマリンバの楽器だけでも相当スペースがいる。
まして人が20人。ブラスセクションにはイスも必要となれば狭い場所での演奏を余儀なくされる。
そして音が回るし、各楽器の生音の音量差が激しいため各自の音量バランスがとにかく難しい。
ただそれだけコンボでは体験できない独特のパワーがある。そりゃそうだ。1人1人がダイナミックス
を付ければ、20名のサウンドのダイナミックスは半端ではなくなる。
それがビッグバンドの醍醐味であろう。
今回亀山社中のライブと言うことで、オリジナルにはさだまさし氏のヴァイオリンが結構入っていた。
当時さだまさし氏は非常勤ではあるがヴァイオリニストとしてメンバーの一員だったのである。
とは言え今さだ氏を呼ぶわけにはいかないし、仕事でスケジュールも一杯であろう。
そんな時、さだ氏のメールで「大陸(息子)がバンドやりてぇ〜」と言っていることを思い出した。
佐田大陸氏はクラシックであるが「TSUKEMEN」というトリオで活動している。
音大大学院を卒業しておりクラシックバリバリの若手ヴァイオリニストである。
「バンドやりてぇ〜」はクラシック外のバンドの事らしく、とにかく色んな事にチャレンジしてみたい
らしい。
そこで大陸氏にメールでの打診。
「僕で良ければ・・・・」と快諾の返事。
とてもさわやかで良い奴だ。本当に好青年である。
それに私は彼がまだ父親の方にいる頃から知っているんだから(深い)。
彼の名前は生まれる数年前から知っていたしね。
今回予定していたアルトサックスのつづらのあつし氏が都合で出られなくなった。セクションのトップ
がいないことは大変なことである。
つづらの氏がダメと聞いて「平原さんでも呼ぶか?」と冗談で私が言ったら「はっはっは。平原さんが
来てくれる?まさか・・・」とそんな感じであった。
平原さんとは何度か仕事でご一緒したが、メジャーなコンサートでの話。当然高額ギャラの仕事でジャ
ズライブ(超低額ギャラ)とは次元が異なる。
勿論仲は良かったけれど気軽に頼める相手ではないと言うこと。トップ・スタジオ・ミュージシャンで
あり、今や日本を代表するサックスプレイヤーである。
つづらの氏も実力的には日本を代表するプレイヤーであるが、若い頃から付き合っていたので我々から
するとつづらの氏は身近な存在だったのである。
冗談で私が平原さんに出演依頼のメールをした。
「どうせ断るだろうな?ライブハウスでビッグバンドって聞いたらギャラはないも同然。リハも出来な
いし初見で面倒くさい仕事はしないよ。」と思っていたら、
何と快諾の返事が届いた。
一番驚いたのはブラスセクションのメンバー達だったらしい。
「えっ!!平原さんが来るの?」特にサックス連中は歓喜したようである。
焦ったのは私と井上氏。
「ギャラが安いとは言っておいたけど、ちょっと考えないとね。」
しかし平原さんは「(ギャラに関して)心配ご無用。頑張ります!!」と温かい返事をくれた。
「素敵な人だね」と一同。
でもその時思った。
今までつづらの氏に対しては来て貰って当たり前でそんな気遣いをしなかった。自然な流れかも知れな
いがいつの間にか「なあなあ」になっている事は反省しなければならない。
リズム隊だけでリハーサルは2回行った。ビッグバンドは譜面が決まっているので、こちらは慣れない
ビッグバンド譜とサイズ確認のリハーサルである。
いつも思うのだが練習スタジオのベースアンプがひどい。音抜けが悪く、出音のタイミングがずれ込ん
でくる。ジラウド・ベースの高速回路でも遅れるのであるから普通のアクティブ回路だとどうなるのだ
ろう?パッシブ楽器だったらもうどうしようもないだろう。
2回目のリハにはJFDT-HAも持ち込んでスピーカーだけ使ったのだが、それでも遅かった。スピーカー
エンクロージャもお粗末そのものである。
「今の人達はこんなシステムで弾いているんだなぁ。これじゃ自分のグルーブも分からないだろうなぁ?」
最近の若者のタッチに対して無頓着なのが良く理解できた。「タッチの悪さは仕方がない。だって判断
できるシステムを使っていないから。」
ライブ当日、初めてメンバー一同が合流。
実質本番前リハが初めてのリハである。
当然全曲出来るわけはなく、それでも私は数時間立ちっぱなしな訳で既に疲労困憊。
初見の人もいるし、その場でサイズ変更もありだからリハをやらないわけにはいかない。
本来私は手抜きでリハをやるのだけれど、この人数だといつの間にか真剣になってしまう(笑)。
ヴォーカルのマリア・エバさんはアジアの歌姫であり、チャカ・カーンの様な声量の持ち主である。
難点はビッグバンドと言うこともあり、キーがA♭やD♭の曲が多くありベースの譜面としては一番難しい
そもそも今までG♭って音をあまり使ったことがない。F♯なら見慣れているがG♭は譜面に弱い私としては
とてもあせるんだよね。油断するとGを弾いてしまう。
今回、震災のレクイエムとして「上を向いて歩こう」を大陸氏のヴァイオリンと信田氏のピアノのデュオで
演奏した。信田氏のジャズアレンジには定評があり、彼のヴォイシング(和声作り)は本当に素晴らしい。
大陸氏もクラシック畑ながら私の好きなステファン・グラッペリ風に朗々と歌っていた。
あの元々4ビートだった名曲「上を向いて歩こう」が美しい叙情詩となり多くの感動を呼んだ。
亀山社中は元々色んな分野のMusicianの集合であり、自然にクロスオーバーするバンドであった。
私はRockからSoul,Funkを得意とし、立山氏はJazz,Funk、信田氏はModern Jazz、井上氏はSwing Jazz
宅間氏はClassic、坂元氏はFolk
その5人が長いキャリアで一応なんでもこなすようになっているバンドなのである。
今回のライブもStandard Jazz,Swing Jazz,Bossa Nova,Latin,Fusion,Classic,Folkと多彩な音楽と
なった。
繊細なアコースティック・ギターのソロや圧巻のマリンバ・ソロとバレエティに富んだライブは亀山社中
独特のものである。
4ビートがやや多かったが、サンバ&サルサ系も多くリズム隊は結構大変な曲が多かった。
サルサ風のモントゥーロもビッグバンドではSwing系というか若干跳ねるので、何とも妙に難しい。
人数が多いとソロの分担が大変で、ブラスセクション全員にソロを回すわけにはいかない。でもソロを
欲しがるのがブラスセクション(笑)。でも今回は平原さんが入ったことでソロはやりにくかったでしょうね(笑)
まあ光り輝いたのが大陸君でしたね。
彼は色んな意味で分かっている人です。
ヴァイオリンで如何に唄うか?如何に見せるか?如何に魅せるか?
クラシック出身なのにジャズまでそつなくこなし、とにかく動じない強い心の持ち主である。
徹底して自分も楽しんでいるように見受けられた。老婆心ながら彼に色々教えよう何て考えていたのに
彼から学ぶものの方が多かったかも知れない。将来凄いミュージシャンになるだろう。
平原氏は書くまでもない。期待以上もありえないし、期待以下は絶対あり得ない。文字通り期待通り。
ただ今まで一緒に仕事してとにかく上手なSaxと言う印象ではあったが、ビッグバンドの中に入ると
その音色の美しさに驚いた。勿論わざと汚い音を出して荒々しくプレイしたりするが聴かせどころでは
何とも甘い澄んだ音を出してくれる。またピアニッシモ時のサウンドメーキング、立ち上がりの良さと
やはり凄い。
つづらのあつし君も私が大好きなプレイヤーであり、彼の代わりになるのは平原氏クラスでないと厳しい
とつくづく感じた。つづらの氏は動物的嗅覚というかその場の雰囲気で大胆にアプローチしていくタイプで
全体をどんどんグルーブさせてくれる。平原氏はトップスタジオミュージシャンらしく周りが聴き入って
しまうプレイをする。どちらも素晴らしいミュージシャンで誇らしいメンバーである。
平原氏にもミスがあった(笑)。
2部途中からステージに上がる予定だったが、曲が始まっているのにSaxパートが何人かいない!!
後で聞いた話だが、楽屋でSax連中にレッスンしていたそうだ(笑)。そりゃ若いSax奏者からすれば
平原氏から直々にレッスンを受ける機会はないから。それにしても平原氏は何と優しい人なんだろう。
私が一番練習した難曲が時間とリハの都合でカットされたのが残念だった。
ベースとブラスセクションで途中ユニゾンがあったり、体力を使うけれど盛り上がる曲である。
テクニック的にはさほど難しいわけではないが、ユニゾンの後にシビアな16部音符のしかけ多々
出てくる曲で、ユニゾンの後多少リズムが乱れやすくジャストが難しい曲である。
これは是非次回にはご披露したい。
今回は古いジャズからオリジナルまで音色的にも幅広くするため、60〜70年代はBlack Cloudの
Jamersonチューン、80年〜はJ-Bass5Customを使用した。
今回もプロデュースしてくれた能登氏がJ-Bass5の弦を張り替えろと催促していたが、2フィンガーメイン
なので半分死んだ弦のまま使った。
Black Cloudは殆ど1フィンガーで演奏した。しかしモニター(自分のアンプ)をかなり下げ気味にし
ていたのでアップのひ弱さをあらためて感じた。もっともっと強くしなければ実用とは言えない。
またずっと立ちっぱなしで足が疲労すると本番不本意にも揺れてしまう。そう言ったフィジカル的な
問題を再認識した。日頃の鍛錬はやはり重要と言うことである。歳のせいにしてはいけない。やはり
体を鍛えないとライブはダメである。

福田 郁次郎 スーパー・ファンク・ライブ in ヤマハ・エレクトーン・シティ
” SUPER FUNK MEETING IN YAMAHA ELECTONE CITY ”
IKUJIRO FUKUDA & FRIENDS (Stage2)
Bass:福田 郁次郎
Keyboard:井上 鑑 
Drums:伊藤 史朗
Guitar:松宮 幹彦
Guitar:李 偉玉 
Guest Musicians
Vocal:田尻 靖
Vocal:MIKI
Percussion:川瀬正人
Soprano Sax:黒葛野敦司
●ライブを終えて
私のわがままと能登さんの夢からスタートしたSuper Funk Liveは大盛況(平日と雨)とは言えないが
まずまずの好評を得て無事終えた。
今回感じたことはライブは生き物、いや音楽が生き物と言うこと。
ライブ映像を見て貰えれば分かると思うが、そのダイナミックスの変化が激しい演奏であった。
正直言うと実はリハーサルは前日の一日、当日リハで初めて演奏した曲もあった。
人からは準備不足と言われるかも知れない。しかし音楽は生き物であるから、新鮮な感覚も重要なのである。
例えばMIKIの曲のアレンジは前日に上がってきた。リハも譜面のサイズチェックで1〜2回初見で演奏して終わり。
ところが当日各自が自然にその曲のダイナミックスを付けてくる。若い頃は付点系の仕掛けがあると大げさに
アタックを付けてセクションとして大音量になりがちである。しかし今回のメンバーに誰一人ダイナミックスを
崩す者はいない。実にさりげなく付点8分音符を演奏する。そしてそこに緊張感と温かさが生まれる。
一夜漬けのバンドであるがキャリアが音楽を上手く料理している感があった。
ドラムの史朗のスティック捌きを若者は研究して欲しい。彼は腕を殆ど使わない。スナッピーで強弱を付ける。
それ故ピアニッシモでもグルーブ感を出すことが出来る。私の縦振動のタッチと同じである。
松宮のギターはふしぎだ。彼は元々フリージャズが得意なギタリストで鑑の難解な曲「Freedom Pank Dance」では
水を得た魚のようにフリージャズを弾き出した。極自然に生まれるフリージャズのアドリブは絶賛ものである。
李偉玉も今はジャズギタリストであるが必要に応じてひずみ系のギターを弾く。それも決して出しゃばらない。
川瀬正人のパーカッションは予想した通り、いやそれ以上に存在感を見せた。パーカッションは誰でも出来るようで
一番感性を必要とする楽器だと私は前々から思っていた。リズムを刻むだけではなく空間を彩る楽器と言えよう。
川瀬正人:マー坊が売れっ子のパーカッショニストであることを証明するプレイだった。
今回急遽頼んだ黒葛野敦司のサックス。結果的に彼がもしいなかったら寂しいライブだったかも知れない。
彼は数々のセッションをこなしているのでバンドに対応する能力がずば抜けている。そして職人的巧さを持つ男である。
特に彼のソプラノが私は大好きでついつい多用してしまった。もし次もあれば今度はテナーやアルトも活かしたい。
鑑のピアノは言うまでもない。彼は自己の評価をピアニストとしては高くないように言う。しかしやたらテクニックを
ひけらかすピアニストとは大違い。彼の醸し出す知性とアイデアは随所で光を放つ。と言うより今回久しぶりに
ライブをやってやっぱりメチャクチャ上手い(テクニック的に)じゃないかと感じた。
即席バンドであったが、トータル的にダイナミックスを付けることが如何に重要かを分かっているバンドである。
その辺りの差が若い人達に理解できるかである。少しでも個々のタッチだけではなくバンド全体のタッチを
感じてくれたら幸いである。 福田郁次郎